大きいものが好きな我が家の父

私の父は大きいものが好きだ。昔からだが、大きければ大きいほうが良いようだ。
特にその特性が顕著に表れるのは、家電…いや、ピンポイントでいうと液晶画面だ。

まず、テレビ。
実家はいわゆる一般的な一軒家だ。そんなに大きくもないし、都会ではないにしてもとても広い家ということはない。
居間には32型のテレビがあり、何の不自由もなくそれを観ていた。
とあるとき、離れたところにある私の家のテレビが壊れた。
それを伝えると父が「新しいテレビが買う予定だったからちょうどいい。この32型を持っていけ」と言った。
かわりに新しいテレビを買うから古いのをくれるとはなんともありがたかった。私は観れればそれでいいし、サイズも文句なしだ。

父が出かけていき、買って帰ってきたテレビは・・・65型!デカイ!!
母は茫然…アゴが外れそうになっていた。「老夫婦2人で必要あるの?このサイズ…」
趣味で映画を観たいとか、そんなこともあるはずがなく父は「大きいほうがいいだろう」という謎の憧れで65型を買ってきたのだ。

実家のテレビ台からは当然はみ出ることになり、横にあった食器棚は開閉時に扉が液晶にぶつかるようになってしまい移動が必要になった。
もう、大事である。
65型のテレビの前にこたつがあり、そのこたつをはさんで近距離でテレビを観ることになる。
おそらく映画館でいうと前から3列目くらいだろう。近すぎて全体が見えない。
首がつかれる。

面白いのは野球中継を見る時だ。
野球中継は画面の端に「1回裏」やストライク・アウト数などがでるので、一度で視界に入りきらない。
野球をボーっと見ていても、「今何回だろう」と思うと首を動かして画面の端に目をやらなくてはならない。
なんとも面倒だ…。そうは思わないのだろうか?
いやしかし、彼は満足そうなのだ。大きいテレビが欲しかったから…目標達成である。

液晶の大きいものが好きというのはパソコンにも当てはまる。
75歳にもなって自分でパソコンを組み立てる。そのガッツはなかなかのものだ。
その液晶ももちろんでかい。
間違いなく32型のテレビよりは大きいし、近くで観ることになるので画像を見るときは画素が最悪だ。割れている。
何がいいのかよくわからないが…それでも父は満足そうである。
もうよくわからない。

これは男のロマンなのだろうか?
そして母は何とも迷惑そうである。

そんな父の次にほしいものはカーナビらしい。
カーナビはなんとしても車からはみ出ないことを祈っている。